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下請取引適正化推進セミナーのご案内
下記の日程で、下請取引適正化推進セミナー((財)全国中小企業取引振興協会主催)の講師を担当いたします。
今回のセミナーは、過去の下請法違反事例や下請取引改善講習会における質問事例等を題材にした、大変実践的なものとなっています。
受講料は14,000円(テキスト代・消費税込み)です。
下請法の実務に関心のある方は、是非ご参加いただければと思います。
詳しくは、主催者のホームページ(http://zenkyo.or.jp/seminar/orijinal_jitumu.htm)をご覧下さい。
記
開催日:平成25年2月22日(金)
開催場所:東京都江東区有明3-6-1 TFTビル
時間:10:00~17:00(12:00~13:00は昼休みとなります)
小売業と下請法
(1)平成24年9月に下請法違反で公正取引委員会から勧告が4件出されました。
① http://www.jftc.go.jp/pressrelease/12.september/12090701.pdf
② http://www.jftc.go.jp/pressrelease/12.september/120920.pdf
③ http://www.jftc.go.jp/pressrelease/12.september/12092102.pdf
④ http://www.jftc.go.jp/pressrelease/12.september/120925.pdf
①~③の違反者の事業は小売業、④の違反者の事業は、違反者の会員である小売業者への商品供給事業になります。
下請法というと製造業が対象のようですが、下請法の適用のある取引の一つである「製造委託」には、事業者が業として行う販売の目的物たる物品の製造を他の事業者に委託することが含まれますので、物品の販売をしている小売業者は(もちろん④のような卸売業者も)、下請法が適用される場合もあるのです。
特に最近はやりのPB商品は、まさに自社向けの商品として製造を委託しているため、製造委託に該当することになります(もちろんその他の要件があるため、直ちに下請法の適用があるわけではありませんが)。
また、小売業については、仕入や返品に独特の商習慣がありますが、下請法に違反するものについては、当初から契約で定めていても認められないため、注意が必要になります。
(2)違反行為について
①の違反行為は「下請代金の減額」「返品」「不当な経済上の利益の提供要請」
②の違反行為は「下請代金の減額」「不当な経済上の利益の提供要請」
③の違反行為は「下請代金の減額」「返品」「不当な経済上の利益の提供要請」
④の違反行為は「下請代金の減額」「返品」「不当な経済上の利益の提供要請」
です。
通常勧告の対象となるのは「下請代金の減額」がほとんどなのですが、「返品」や「不当な経済上の利益の提供要請」も勧告の対象となっているのが特徴といえるでしょう。特に④の「返品」については、会員による販売期間が終了したものを下請事業者に引き取らせていたのですが、返品した商品については、原則として次の販売期間開始時に再納品させることを条件としていたようです。もちろんこのような合意があっても返品が認められるわけではありません。
なお、④については減額分の返還と支払遅延による遅延利息の支払いの合計で約39億円にもなりました。
繰り返しになりますが、下請事業者が合意しているからといって、下請法の違反を免れることはできません。下請法違反とされることのないよう、十分な理解が必要になります。
平成24年度下請取引改善講習会のご案内
下記の日程で、下請取引改善講習会((財)全国中小企業取引振興協会主催)の講師を担当いたします。
受講料・テキスト代ともに無料ですので、下請法に関心のある方は、是非ご参加いただければと思います。
詳しくは、主催者のホームページ(http://zenkyo.or.jp/seminar/course.htm)をご覧下さい。
記
1 平成24年6月18日(月)愛知県名古屋市(愛知県産業労働センター)
2 平成24年7月6日(金)東京都千代田区(日本教育会館)
3 平成24年8月6日(月)東京都江東区(東京ファッションタウンTFT)
※時間は、1が13:30~16:30、2及び3が9:30~16:30となります。
平成24年度下請取引適正化推進セミナー(基礎コース)のご案内
下記の日程で、下請取引適正化推進セミナー(財団法人全国中小企業取引振興協会主催)の講師をいたします。
いずれも下請代金支払遅延等防止法の初心者向けの解説で、有料(1名1会場12,000円)となります。
申込方法など詳しくは主催者ホームページ(http://zenkyo.or.jp/seminar/yuryo.htm)をご覧下さい。
記
1.平成24年5月22日(火)東京都江東区(東京ファッションタウンTFT)
2.平成24年6月6日(水)東京都江東区(東京ファッションタウンTFT)
※時間はいずれも13:00~16:30です。
下請法と優越的地位の濫用について②
下請法違反の行為が優越的地位の濫用にもなるかどうかについてまず検討すべきは、下請法上の親事業者は、直ちに下請事業者に対して優越的な地位にあるといえるかどうか、ということになります。
親事業者と下請事業者は、①両者の資本金の額、及び②取引の内容(製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託)によって、形式的に決まることになる一方、「甲が取引先である乙に対して優越した地位にあるとは、乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため、甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても、乙がこれを受け入れざるを得ない場合」と、実質的に判断されるで、判断の枠組みが大きく異なります。
もちろん両者は重なる部分も多いと思いますが、重ならない場合も十分あり得ると考えられますので、親事業者が優越的な地位にはない場合には、勧告に従わなくとも、独占禁止法の違反として排除措置命令の対象とはならないことになります(そのような場合に勧告に従わないことを勧めるわけではありません、念のため)。
親事業者が優越的な地位にあるとした場合、今度は任意に代金の減額に同意したことをどのように評価するのかが問題になります(優越的な地位にある者からの要請なので同意してもそれが任意にしたとはいえないのではないか、という問題はありますが、ここでは任意に行われたとします)。
当事者の合意については、優越的地位の濫用ガイドラインにも個別に規定した個所がありますが、代金の減額に関する個所については触れられておりませんので、おそらく、任意であっても合意したというだけでは、優越的地位の濫用の代金の減額に該当することになる(該当する場合がある)と考えているものと思われます。
しかしながら、競争政策は効率性の問題であり、任意に事業者が判断したとすれば、それは尊重されるべきであって、法が公平性の観点から後見的に介入する必要はないと思います。
従って、任意に同意したことに対して、優越的地位の濫用を問題にするべきではないでしょう。
このように考えると、下請法と独占禁止法とで結論が異なることになりますが、法律が異なるので、結論が異なること自体は問題はないと思います。
ただ、これでは、勧告に従わずに済ます親事業者が出てくることになり、取り締まる側からすれば困ることになるかも知れません。
前述のとおり、おそらく公正取引委員会は、任意に合意したとしても、それだけで優越的地位の濫用に該当しないという扱いはしないという立場だと思います。これはこれで一貫しており、結論が異なるという結果も回避できるのでいいのかも知れません。
しかしながら、このような公平性を重んじるやり方が行き過ぎると、取引への過度の介入になり、結果的に効率性が損なわれることになるといわざるを得ないでしょう。
判断の分かれるところだと思いますが、私見では、任意に合意した場合、下請法も優越的地位の濫用もともに問題にしない、とすべきではないかと考えます。