下請取引適正化推進セミナー・事例研究コースのご案内

2014-01-09

新年明けましておめでとうございます。

今年も宜しくお願いいたします。

 

さて、下記の日程で、下請取引適正化推進セミナー((財)全国中小企業取引振興協会主催)の講師を担当させていただくこととなりました。

今回のセミナーは、過去の下請法違反事例や下請取引改善講習会における質問事例等を題材にした実践的なものとなります。

受講料は1名に付き12,000円(テキスト代・消費税込み)です。

関心のある方は、是非ご参加いただければと思います。

詳しくは、主催者のホームページ(http://zenkyo.or.jp/seminar/orijinal_jirei.htm)をご覧下さい。

日時:平成26年1月29日(水)13:00~17:00

場所:東京ファッションセンター(東京都墨田区横網1-6-1)

 

 

夏季休業のお知らせ

2013-08-13

当事務所は、平成25年8月14日から16日まで、夏季休業とさせていただきます。

消費税転化対策特別措置法・ガイドライン案の公表①

2013-08-13

平成25年6月5日に成立し、10月1日から施行される「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(消費税転嫁対策特別措置法)のガイドライン案が、7月25日に公表されました。

http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/jul/gl_pabukome.files/20130725-3.pdf

http://www.caa.go.jp/representation/pdf/130725premiums_2.pdf

http://www.caa.go.jp/representation/pdf/130725premiums_4.pdf

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/250725tenka2.pdf

このガイドライン案は、8月23日締切のパブリックコメント手続きを経て、内容が確定する予定です。

 

この法律につきましては、法案の公表時に検討いたしましたが、ガイドラインによってどのように運用されるのかについても、前回の記事をもとにして、みてみたいと思います(一部重複いたしますが、ご容赦下さい)。

 

1.当事者

この法律に登場するのは、「特定事業者」「特定供給事業者」「中小事業者」です。

(1)特定事業者

まず特定事業者は、以下のいずれかです。

① 大規模小売事業者

② 特定供給事業者から継続して商品または役務の供給を受ける大規模小売事業者以外の法人事業者

①の大規模小売事業者は、一般消費者が日常使用する商品を取り扱う小売業者(コンビニなど、フランチャイズ・システムによる場合を含みます)以下のいずれかに該当する者になります。

a 前年度の売上(加盟者の売上を含む)が100億円以上である者

b 床面積が1500平方メートル以上(東京23区及び政令指定都市にあっては3000平方メートル以上)の店舗を有する者

消費者相手の小売業を行っていれば、生活協同組合や農漁協同組合も含まれます。また、店舗を持たない通販業者も含まれることになります。

②は、大規模小売事業者ではないものの、特定供給事業者(資本金3億円以下の事業者(個人も含みます))から継続して商品または役務の供給を受ける法人事業者が該当することになります。

「継続して」という要件がありますので、一回限りの取引には適用がありません。

 

(2)特定供給事業者

特定供給事業者は、以下のいずれかの法人事業者です。

① 大規模小売事業者に継続して商品または役務を供給する事業者

② 大規模小売事業者以外の特定事業者に継続して商品または役務を供給する資本金3億円以下の事業者(個人を含む)

 

(3)中小事業者

中小事業者は、以下のいずれかになります(なお、⑤~⑦は、現時点では政令が確定していません)。

① 主として製造業、建設業、運輸業などの事業(卸売業、サービス業、小売業は除く)を営む資本金3億円以下の会社とこれらを営む従業員数300人以下の会社と個人

② 主として卸売業を営む資本金1億円以下の会社とこれらを営む従業員数100人以下の会社と個人

③ 主としてサービス業を営む資本金5000万円以下の会社とこれらを営む従業員数100人以下の会社と個人

④ 主として小売業を営む資本金5000万円以下の会社とこれらを営む従業員数50人以下の会社と個人

⑤ 主としてゴム製品製造業(自動車等のタイヤ・チューブと工業用ベルトの製造業は除きます)を営む資本金3億円以下の会社とこれらを営む従業員数900人以下の会社と個人

⑥ 主としてソフトウェア業または情報処理サービス業を営む会社とこれらを営む従業員数300人以下の会社と個人

⑦ 主として旅館業を営む会社とこれらを営む従業員数200人以下の会社と個人

 

2.特定事業者がしてはならない行為

平成26年4月1日以降、特定事業者は、①減額、②買いたたき、③購入・利用強制、④税抜き価格による交渉拒否、⑤報復措置をしてはならないとされています。

平成26年3月31日以前の行為であっても、法律施行の日(平成25年10月1日)以後の行為であり、かつ、来年4月1日以降に供給を受ける商品または役務に関するものについては、同法の適用があります。

 

(1)減額

特定事業者は、商品若しくは役務の対価を減額して、特定供給事業者による消費税の転嫁を拒んではいけないとされています。

「対価」とは、消費税を含めた価格を意味します。

減額というのは、一旦決まった対価を減らすことなので、消費税率引き上げにより、価格を据え置くのではなく、さらに代金を削るという行為が対象になります。

この減額の例として、ガイドラインに挙げられているのは、以下のような行為になります。

① 消費税相当分を支払わないこと

② 支払時の対価の一部を差し引いて支払うこと

③ リベートや協力金など、名目の如何を問わず、対価の一部を徴収したり、一部を差し引いて支払うこと

なお、③については、「名目の如何を問わず」とはなっているものの、反対債権で相殺すること自体が一切認められないとは考えられませんが、リベートや協力金も、当初から約束している場合には、立派な反対債権となりますから、どのような債権なら相殺してもよいのかというのは問題になると思います。

また、前回問題提起をいたしました「消費税の転嫁」については、ガイドライン案では全く触れられておりません。これにより、公正取引委員会は、本体価格と消費税額について分けることなく、どのような形でも減らせば減額になると考えていることになるでしょう。

条文には記載されておりませんが、ガイドライン案では、「合理的な理由」があれば、減額も許されるようですが、ガイドライン案の「合理的な理由」の例は、以下の2つです。

① 商品に瑕疵があったり、納期の遅れなど、特定供給事業者の責任により、相当額の対価を減らす場合

② 数量リベート

ガイドライン案には記載されませんでしたが、下請法同様、相手方が同意しても、消費税の転嫁を拒むための減額は違法になるという運用になると思います。

 

消費税の転嫁対策に関する特別措置法案の公表⑤

2013-06-10

6.手続き等

(1)特定事業者の禁止行為(第3条)について

① 指導または助言

公正取引委員会、主務大臣または中小企業庁長官は、特定事業者に対し、第3条に違反する行為を防止し、または是正するために必要な指導または助言をするものとされています。

② 措置請求

主務大臣または中小企業庁長官は、第3条に違反する行為があると認めるときは、公正取引委員会に対し、適当な措置をとるよう求めることができるものとされています。

なお、以下の場合は、この措置請求が義務的となります。

ア 多数の特定供給事業者に対して行われていると認められるとき

イ 特定供給事業者の受ける不利益の程度が大きいと認められるとき

ウ 違反行為を繰り返し行う蓋然性が高いと認められるとき

エ ア~ウの他、消費税の円滑かつ適正な転嫁を阻害する重大な事実があると認められるとき

③ 勧告及び公表

第3条に違反する行為を行った特定事業者に対し、公正取引委員会は、速やかに消費税の適正な転嫁に応じることその他必要な措置をとるよう勧告するものとされています。勧告をした場合、公正取引委員会は、それを公表することになります。

勧告については、守らなくても罰則があるわけではなく、従って強制力はありませんが、勧告に従った特定事業者については、独占禁止法の排除措置命令と課徴金納付命令を課さないとすることで、勧告に従うよう促すという構成になっています。

つまり、勧告に従わないと、第3条に違反する行為のうち、独占禁止法の優越的地位の濫用に該当するものについては、そちらに違反する行為として、独占禁止法の手続きが適用されることになるのです。

もっとも、第3条に違反する行為と優越的地位の濫用に該当する行為は、両者の要件が異なる以上、完全に重なるものではありません。第3条に違反する行為であっても、優越的地位の濫用に該当しない行為については、勧告に従わなかった時点でそれ以上の手続きは取り得ないことになります(もちろんそのようなことをお勧めはいたしませんが)。

(2)事業者の禁止行為(第8条)について

これについては、第9条で、第3条に関する手続き(第4条~第7条)が準用されています。

第9条だけだとわかりにくいので、条文を直してみますと、以下のようになります。

 

(指導又は助言)

第4´条 内閣総理大臣、公正取引委員会、主務大臣又は中小企業庁長官は、事業者に対し、第8条の規定に違反する行為を防止し、又は是正するために必要な指導又は助言をするものとする。

(公正取引委員会、主務大臣又は中小企業庁長官の請求)

第5´条 公正取引委員会、主務大臣又は中小企業庁長官は、第8条の規定に違反する行為があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、この法律の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。ただし、第3号及び第4号に掲げるときは、当該求めをするものとする。

① 当該行為が多数の特定供給事業者に対して行われていると認められるとき。

② 当該行為によって特定供給事業者が受ける不利益の程度が大きいと認められるとき。

③ 当該行為を行った事業者が第8条の規定に違反する行為を繰り返し行う蓋然性が高いと認められるとき。

④ 前号に掲げるもののほか、消費税の円滑かつ適正な転嫁を阻害する重大な事実があると認められるとき。

(勧告及び公表)

第6´条 内閣総理大臣は、事業者について第8条の規定に違反する行為があると認めるときは、その特定事業者に対し、速やかにその行為を取りやめることその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

2 内閣総理大臣は、前項の規定による勧告をしたときは、その旨を公表するものとする。

(勧告に係る違反行為についての不当景品類及び不当表示防止法の適用除外)

第7´条 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。)第6条の規定は、内閣総理大臣が前条第1項の規定による勧告をした場合において、事業者がその勧告に従ったときに限り、事業者のその勧告に係る第8条の規定に違反する行為については、適用しない。

 

上記の第7´条によれば、事業者の禁止行為についても、内閣総理大臣による勧告に従わない場合に限り、景品表示法第6条の措置命令の対象となるということになります。

問題は、措置命令が、そもそも第8条の禁止行為に適用できる場合があるのか、ということです。

第8条の禁止行為は、それが事実であれば、不当表示とは考えられません。消費者が消費税を負担しなくて済むかのような誤認をするということはあるのかも知れませんが(個人的にはないと思いますが)、それが「一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示」や「実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」になることは通常考えられないからです。

とすると、第8条の禁止行為については、措置命令の対象にはならないと考えられるため、第3条の禁止行為以上に強制的に取り締まることが困難なものになりそうです。そもそもこれらの行為は、既述のとおり、なぜ取り締まる必要があるのかという根本のところがはっきりしないものであり、取り締まられる側の反発が強いものであることから、仮に違反行為を行っても、確信犯的に勧告に従わない事業者がでることも考えられるところです。

さて、どうなるのでしょうか・・・

 

消費税の転嫁対策に関する特別措置法案の公表④

2013-06-07

※ 平成25年6月5日、消費税の転嫁対策に関する特別措置法が成立いたしました。若干間抜けになってしまいましたが、とりあえず続けます・・・

 

4.総額表示義務に関する消費税法の特例

消費税の納税義務のある事業者が消費者に対して、価格を表示する場合には、物やサービスの価格に消費税額を加えた価格を表示しなければならないとされています(消費税法63条)。

これに対し、今回の法律では、表示価格が税込価格であると誤認されないような措置を講じていれば、税抜価格を表示してもよいとされました。

これは、今回の消費税率の引き上げが2段階となることから、該当する事業者に総額表示の義務を負わせるのが酷であると考えられたためです。

もっとも、本則は総額表示なので、税込価格を表記しない事業者は、できる限り速やかに税込価格を表示するよう努めなければならないとされています。

 

なお、税込価格を表示する場合に、消費税の円滑かつ適正な転嫁のために必要があるときは、税込価格に併せて税抜価格または消費税の額を表示するものとされました。

税込価格の表示が定着し、消費税込みであるか否かを示さない価格表示をしている事業者は、ほとんど税込価格を表示しているといえるため、税抜き価格を表示することは、消費税込みの価格と誤認されるおそれがあり、場合によっては不当表示になるおそれもあります(http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/qa/hyoujiqa.html#Q18)。

しかしながら、税込価格が明瞭に表示されていれば、仮に税抜価格を強調するような表示を行っても不当表示には該当しないとされました。もっとも、税込表示が明瞭に記載されているということは、消費者が税抜価格を税込価格と誤認するとは考えられないと思いますから、当然のことのように思います。

 

5.転嫁及び表示カルテルの適用除外

消費税の転嫁を円滑かつ適正に実行するため、転嫁カルテルと表示カルテルについて、一定の要件の下、独占禁止法の適用を除外することとされました。

転嫁カルテルとは、消費税の転嫁の方法について、複数事業者が共同して、そのやり方を決めることです。典型的には、事業者が本体価格に消費税を上乗せした価格で取引をすることを、参加した全事業者で実施することになります。取引先との力関係から、個別に交渉した場合は消費税の転嫁を行えない場合であっても、複数の事業者が共同でそのような申し入れをすれば、転嫁を認められやすくなるであろうということからこのようなカルテルが認められることになったのです。端数を切り下げるのか切り上げるのかなどについて共同で行うこともここに含まれます。

なお、当然のことですが、転嫁の方法とは関係のない本体価格を統一する決定は適用除外の対象外となります。

この転嫁カルテルが認められる要件は、

① 共同行為に参加する事業者の3分の2以上が中小事業者であること

② 不公正な取引方法を用いるものではないこと

③ 事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにするものではないこと

④ 一定の取引分野における競争を実質的に制限することによって不当に対価を維持したり、引き上げたりするものでないこと

⑤ 公正取引委員会へ届け出ること

です。

表示カルテルとは、消費税についての表示の方法をどのようにするかについて、複数事業者が共同して決めることです。

例えば、税率引き上げ後の価格の表示について、以下のような統一的な方法を用いるようにすることです。

・「税込価格」と「消費税額」を並べて表示する。

・「税込価格」と「税抜価格」を並べて表示する。

この表示カルテルが認められる要件は、上記の②~⑤になります。

 

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