消費税の転嫁対策に関する特別措置法案の公表①
平成25年3月22日、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案」(消費税の転嫁対策に関する特別措置法案)が閣議決定され、公表されました
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/mar/130322.html。
同法案は、以下の4つの特別措置を主な内容とするものです。
1 消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置
2 消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置
3 価格の表示に関する特別措置
4 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置
上記の特別措置については、特に2を中心に小売業界の反発の声が強く、はたして法案どおり実施できるかどうか予断を許さないところで、注目もこの部分に集中しているようです。
ただ、本稿では、そこのみにとらわれず、全体の内容を冷静に検討してみたいと思います。
1.当事者
この法律に登場するのは、「特定事業者」「特定供給事業者」「中小事業者」です。
(1)特定事業者
まず特定事業者は、以下のいずれかです。
① 大規模小売事業者
② 特定供給事業者から継続して商品または役務の供給を受ける大規模小売事業者以外の法人事業者
①の大規模小売事業者は、公正取引委員会規則で定めることになっているので、現段階では正確に分かりませんが、「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」によれば、「大規模小売業者」とは、コンビニなど、フランチャイズ・システムによる場合を含む小売業者で、以下のいずれかに該当する者をいうとされているので、参考になると思います。
a 前年度の売上(加盟者の売上を含む)が100億円以上である者
b 床面積が1500平方メートル以上(東京23区及び政令指定都市にあっては3000平方メートル以上)の店舗を有する者
②は、大規模小売事業者ではないものの、特定供給事業者(資本金3億円以下の事業者(個人も含みます))から継続して商品または役務の供給を受ける法人事業者が該当することになります。
(2)特定供給事業者
特定供給事業者は、以下のいずれかの法人事業者です。
① 大規模小売事業者に継続して商品または役務を供給する事業者
② 大規模小売事業者以外の特定事業者に継続して商品または役務を供給する資本金3億円以下の事業者(個人を含む)
(3)中小事業者
中小事業者は、以下のいずれかになります。
① 主として製造業、建設業、運輸業などの事業(卸売業、サービス業、小売業は除く)を営む資本金3億円以下の会社とこれらを営む従業員数300人以下の会社と個人
② 主として卸売業を営む資本金1億円以下の会社とこれらを営む従業員数100人以下の会社と個人
③ 主としてサービス業を営む資本金5000万円以下の会社とこれらを営む従業員数100人以下の会社と個人
④ 主として小売業を営む資本金5000万円以下の会社とこれらを営む従業員数50人以下の会社と個人
⑤ その他政令で定める会社と個人