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コンビニのオーナーは労働者か?

2015-08-28

少々前になりますが、本年4月16日、東京都労働委員会で、大手コンビニエンスストア・ファミリーマートの加盟者は労働組合法上の労働者に当たるとの判断が下されました(以下「命令」といいます)。昨年3月20日にも、やはり大手コンビニエンスストアのセブン-イレブン・ジャパンの加盟店主らについて、岡山県労働委員会で同様の判断がなされておりますので、はじめてそのような判断がなされたというわけではありませんが、コンビニのオーナーは労働者なのか?ということが改めて議論されることになりました。

東京都労働委員会(都労委)の開示するところによりますと、命令で、都労委が加盟者について労働組合法上の労働者に該当するとした理由は、以下のとおりです(表現は多少変更しております)。

  • フランチャイズ契約であっても、その実態においてフランチャイジーがフランチャイザーに対して労務を提供していると評価できる場合もあり得るのであるから、フランチャイズ契約との形式であることのみをもって、労働組合法上の労働者に該当する余地がないとすることはできない。
  • 本件における加盟者の就労等の実態を鑑みると、加盟者は、本部に対して労務を提供していたといえる。
  • そして、本件における加盟者が労働組合法上の労働者に当たるか否かは、以下の①~⑥を総合的に考慮して判断すべきである。

①事業組織への組入れ

②契約内容の一方的・定型的決定

③報酬の労務対価性

④業務の依頼に応ずべき関係

⑤広い意味での指揮監督下の労務提供及び一定の時間的場所的拘束

⑥顕著な事業者性等の諸事情があるか否か

  • ①本部が運営するファミリーマート・システムは、加盟者の労務提供なしには機能せず、加盟者が、本部の業務遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に組み入れられている。
  • ②加盟者は、ファミリーマート店が全国的にどこでも同一のシステムと統一的なイメージで経営・運営されるべきであるという要請により、定型的な契約を余儀なくされている。
  • ③加盟者の得る金員は、労務提供に対する対価又はそれに類する収入としての性格を有するものといえる。
  • ④本部からの指示、指導や助言、推奨に従わない場合に再契約を拒否される不安等から、加盟者は、本部の個々の業務の依頼に応じざるを得ない状況にある。
  • ⑤加盟者は、広い意味で、本部の指揮監督の下に労務を提供していると解することができ、その労務提供に当たっては、時間や場所について一定の拘束を受けているということができる。
  • ⑥加盟者には、自らの独立した経営判断に基づいてその業務内容を差配して収益管理を行う機会が実態として確保されているとは認め難く、実態として顕著な事業者性を備えているとはいえない。
  • これらの諸事情を総合的に勘案すれば、本件における加盟者は、本部との関係において労働組合法上の労働者に当たると解するのが相当である。

 

労働組合法上、労働者とは、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これの準ずる収入によって生活する者」と定義されています(同法3条)。

労働者については、労働基準法や労働契約法でも定義されておりますが、労組法上の労働者の特色は、労働組合を結成した上で、団体交渉を行うことを認めるべきかどうか、という観点から判断されるものであり、必ずしも労働契約を締結した者に限らない、とされています(菅野「労働法」p590~591)。

つまり、労基法上の労働者とはいえなくても、労組法上の労働者といえることはあり得る、ということになるのです。

このため、労働契約以外の契約により労務の提供を行う者が、労組法上の労働者に該当することを肯定する判断がなされることは珍しくなく、特に、最近の最高裁判例では、その傾向が強いように思います(新国立劇場運営財団事件(最判平成23年4月12日)、INAXメンテナンス事件(最判平成23年4月12日)、ビクター事件(最判平成24年2月21日))。

上記の都労委によって採用されている①~⑥の要件については、基本的に上記の最高裁判例によっても採用されているものとなります。

その点で、都労委がこの①~⑥の要件によって、コンビニのオーナーが労組法上の労働者に該当するかどうかを判断したことは、当然のことといえるでしょう。

ただ、その当てはめが適切かどうかは、②を除き(フランチャイズ契約ですから、契約内容が、一方的かつ定型的に決められているというのは、ある意味その通りなので)、個人的には疑問がないわけではありません。

まず①ですが、これは、本部の事業に必要な労働力として組織に組み入れられているといえるかということですが、加盟者に対する本部の事業とは、加盟者の行うコンビニエンスストア事業に対する指導・援助になるはずです。とすると、指導・援助される側の加盟者の事業が本部の事業に組み入れられているというのは、あり得ないように思います。

この点、命令は、「ファミリーマート・システムは、加盟者の労務提供なしには機能せず」としておりますが、「フランチャイズ・システム」とは、「あるフランチャイザーが多数のフランチャイジーにフランチャイズを付与することにより、それらの個々の要素が総合され、全体として一つのまとまりをもち、独自の流通組織として機能する仕組をいう。」(川越憲治「フランチャイズシステムの法理論」p30)とされており、フランチャイザーの事業そのものではありません。

命令は、この点を混同しているように思います。

③は、労組法における労働者の定義からすると、最も重要な部分になると思われますが、なぜ、労務の対価といえるのかについては理由が書いてないのでよく分かりません。ただ、加盟者が得るのは、自らの事業から得られる利益であることからすれば、労務の対価でないことは明らかでしょう。

確かに、大手コンビニエンスストアの採用する粗利分配方式とオープン・アカウント制度では、加盟者は日々の売上金を一旦本部に送金し、そこから諸費用を控除の上、契約で加盟者が受け取ることになっている割合の粗利益を得ることになりますが、だからとって、加盟者はこの金員を自らの労務の対価として受け取っているわけではありません。

このことは、どんなに長時間働いても、売上が上がらなければ、受け取る金額は減りますし、全ての作業を加盟者自ら行わなくても(アルバイトに任せても)、売上が上がれば受け取る金額が増えることからも明らかだと思います。

なぜこのような認定になったのかは分かりませんが、ひょっとすると、大手のコンビニエンスストアで採用されている最低保証制度(加盟者に対して一定の総収入を保証する制度)があることによって、必ずしも売上(利益)だけで加盟者の受け取る金銭が決まっていないことから、労務に対価に近いものだと認定されたのかも知れません(この制度は加盟者の経営の安定を図るためのものであり、労務の対価を認定する根拠になるとは考えにくいですが・・・)。

いずれにしても、オープン・アカウントをやめると、加盟者は本部から受け取る金銭がなくなりますが、そのとたんに労働者ではなくなるというのも奇妙なものといわざるを得ないでしょう。

④も、本部が色々と指示するのは、加盟者のコンビニエンスストア事業のためであって、何も、本部の行う事業をさせようとしているわけではないので(実際にも、加盟者は本部の事業をしていないと思います)、おかしな認定だといわざるを得ないように思います。

繰り返しになりますが、本部から加盟者になされる「指示、指導や助言、推奨」は加盟者の事業に対してなされるものであり、それによって再契約を拒否されるかどうか不安に思うことはあるかも知れませんが、だからといって加盟者が本部の業務を行わざるを得ないということには全くなりません。

⑤についても、このような認定に至った理由が分かりませんが、「加盟者は、広い意味で、会社の指揮監督の下に労務を提供していると解することができ」という部分は、フランチャイズ契約に従って、事業を行っているということを、広く解釈すると、そのようにいうことも出来る、ということであれば、そう言えなくもないでしょう。ただ、どう解釈しても、フランチャイザーに労務を提供していると解することはできないように思います。

「その労務提供に当たっては、時間や場所について一定の拘束を受けているということができる」という部分も、フランチャイズ契約に従って事業をしなければならないという範囲では、その通りと言えなくもありませんが、やはり、労務を提供しているということにはならないと思います。

最後の⑥ですが、「加盟者には、自らの独立した経営判断に基づいてその業務内容を差配して収益管理を行う機会が実態として確保されているとは認め難く、実態として顕著な事業者性を備えているとはいえない」というのは、通常の事業に比べて、拘束される度合いが大きいという点では、確かにそうでしょうが、その機会さえ確保されていないということは、いくら何でも言い過ぎのように思います。

命令は、加盟者の店舗の収益管理は全て本部が行っており、一切加盟者には関係ないといいたいのでしょうか。

今後、この認定が維持されるのかどうかは分かりませんが、コンビニの三点セット(粗利分配方式、オープン・アカウント、最低保証制度)がこの認定を導いたのだとすれば、少々皮肉なことのように思います。

加盟者の保護を考えるということは意義のあることだと思いますが、それを労働法制の中で考えようとした今回の命令は、やはり無理があるのではないでしょうか。

少なくとも個人的には、そう思います。

 

フランチャイズ契約上の競業避止義務③

2012-06-28

③ 契約上の対処

契約終了後の競業禁止期間が有限であるという問題に対処する方法として考えられるのは、

ア 競業禁止期間の開始時期を遅らせる。

イ 容易に競業に踏み切れないようにする。

というものです。

 

まずアですが、これは、競業禁止期間の開始時期を、フランチャイズ契約終了の際に、フランチャ契約上実行することがフランチャイジーに義務づけられている作業を全部終えた時点からにするというやり方です。

通常、競業禁止期間の開始時点は、「フランチャイズ契約終了の日から」となっていることが多いと思いますが、この場合、契約終了の時点で既に違反行為を行っている場合であっても、それとは無関係に競業禁止の期間が進行することになってしまいます。

期間の長さ自体に前述のような制限があるので、これに対処するには期間の開始事前を遅らせることしかありません。そこで、フランチャイズ契約上、フランチャイズ契約終了後の競業禁止期間の開始時点を、元フランチャイジーが事業活動を一切停止した時点から、などとするのです。一旦止めた後、競業行為を開始する元フランチャイジーも考えられることから、競業禁止の期間について、判決が確定した日から別途追加で起算されるというやり方も考えられるでしょう。

 

次に、イですが、これは、フランチャイズ契約上、競業避止義務違反や守秘義務違反があった場合の損害賠償額をあらかじめ定めておくという方法です。これらの違反の場合、違反行為が認定できたとしても、それによって一体いくらフランチャイザーに損害が生じたのかを立証することは難しいこともありますし、例えば、ロイヤルティ相当額が損害であるとした場合(これは通常容易に認められるものと思われます)、前述のとおり、差止請求自体に限界があるため、その程度の金額を支払えば競業行為ができるということになって、かえって元フランチャイジーに対し、違反行為を誘発することにもなりかねません。

そこで、フランチャイズ契約で、競業禁止行為の違反があった場合に、相応の金額(計算式でももちろんよいでしょう)を損害賠償額として定め、違反があった場合の損害賠償請求を容易にするとともに、元フランチャイジーに対して、違反行為をしないように思いとどまらせるという方法が通常とられることになります。これを法律的には「損害賠償額の予定」といいます。

ちなみに、これを定めた民法の条文は、以下のとおりです。

第420条(賠償額の予定)

一 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。

二 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。

三 違約金は、賠償額の予定と推定する。

 

損害賠償額の予定がなされると、請求する側は、損害がいくらあったのかを立証しなくてもよくなります。また請求された側は、損害が全くなかったことや、実際の損害額がそれよりも少ないことを立証したとしても、責任を免れることができなくなります。もっとも、損害が予定額より多かったとしても、多い金額を請求できるわけではありません(ただし、これについては契約上対処が可能です)。

損害賠償額をフランチャイズ契約で予定する場合、問題になるのが損害賠償額をいくらにすればよいのかということです。金額が多ければ多いほど、フランチャイザーにとっては有利といえますが、余りに高い金額を設定すると、裁判所に無効とされるおそれがあるからです。

ただ、そもそもフランチャイジーの側が違反行為をしなければ支払う必要のない金銭であること、余り低額だと、フランチャイジーの側にかえって違反行為を誘発することになることなどの理由からすれば、それなりに抑止効果のある金額を定めるべきではないかと思います。必須ではないですが、できれば、その金額を算定した根拠を示せるとよいでしょう。

 

フランチャイズマネジメント講座・公開講座のお知らせ

2012-06-27

本年9月から、社団法人日本フランチャイズチェーン協会による「フランチャイズマネジメント講座」がスタートいたしますが、それに先立ち、無料の公開講座が実施されます。

開催日は平成24年7月27日(金)で、時間は午後1時30分から午後5時までです。

同講座で実際に講師をされる予定の講師陣の講義を直に体験できる貴重な機会だと思いますので、関心をお持ちの方は、是非ご参加下さい(先着20名までで、参加者の方には、講座の割引があります)。

詳しくは、日本フランチャイズチェーン協会までお問い合わせ下さい。

 

フランチャイズ契約上の競業避止義務②

2012-06-27

5.潜脱行為の防止

③は難しい問題です。実務上特に問題になるのは、競業を行う主体の問題です。契約に拘束されるのは契約当事者ですから、フランチャイズ契約の当事者以外の者が競業を行ったとしても、それをフランチャイザーが禁止することは原則としてできないことになります。もっとも、そうだとすると、例えばフランチャイジーが別会社を設立して競業を行ったり、フランチャイジーの役員やその親族などが競業行為を行ったりした場合に、フランチャイザーとしては何の手も打てないことになってしまいます。

このような不都合に対処するため、通常は、フランチャイジーに対し、その子会社や役員など、フランチャイジーと一定の関連を有する人に対して、競業行為を行わせないような義務を、フランチャイズ契約上課していることが多いようです。このような契約条項も一般に有効だと思いますが、関連性の立証が困難であることも多く、また直接違反行為者に対して競業行為の差止を求めることができないため、実効性という点では今ひとつになってしまいます。

 

6.実効性の確保

(1)フランチャイザーが執りうる手段

④の実効性の確保についてですが、これは、契約で規定したことをどのようにしてフランチャイジーに守らせるのかの問題になります。競業禁止規定にフランチャイジーが違反した場合、フランチャイザーとして執りうる手段は、

a 競業行為の差止請求

b 損害賠償請求

なので、競業禁止規定の実効性を確保するということは、それぞれの請求をどうやって効率的、効果的に行うのかという問題になるでしょう。

なお、競業行為の差止と損害賠償請求は、それぞれ別個の権利なので、両立しうることになります。すなわちフランチャイザーとしては、競業行為の差止を求めつつ、損害賠償を請求することができるのです。

(2)差止請求の問題点

① 競業行為の特定

まず、aの競業行為の差止請求ですが、これを行うにあたっては、競業行為に該当するのはどのようなものかを明確にすることが必要になります。

競業行為については、前述のとおり、フランチャイズ契約書上「類似または競合する事業」などと記載されることが多いのですが、実際に差止請求をする場合には、違反行為を特定し、それを文章化しなければなりません。

なお「類似または競合」という文言では、本当にそれに該当するかどうかという点で解釈が分かれる場合があります。そこで、契約書上、一定の行為について具体的に記載し、それらは競業行為に該当するとみなすとか、「本契約において競合する事業とは○○のことをいう」といった規定を設けておく方法がとられることもあります。

② 競業を禁止する期間

フランチャイズ契約終了後にどの程度の期間、元フランチャイジーに競業行為を禁止できるのかは悩ましい問題です。フランチャイザーの側からすれば、できるだけ長い期間、元フランチャイジーの競業行為を制限したくなるところですが、余りに長期間競業行為を制限することは、元フランチャイジーの職業選択の自由を過度に制約することになり、適当ではないと思われます。また、フランチャイザーにとっても、ノウハウの保護が主な目的であることから、それほどの長期間競業を禁止しなくても目的は達成できると考えられます。

このため、フランチャイズ契約上は、契約終了後の競業禁止期間を、前述のとおり、1~3年程度とすることが多いのです。無期限の競業避止義務は、少なくとも一定期間を超える部分については、無効とされる可能性が高いでしょう。

このように、契約終了後の競業禁止については、期間が制限されることになるのですが、このことは実務上やっかいな問題を引き起こします。元フランチャイジーが契約終了後に競業行為を行った場合、フランチャイザーとしては、その差止を求めて訴訟を提起することになりますが、この訴訟も、すぐに判決が出るわけではなく、第1審から上告審まで争われた場合、3年以上の期間が経過してしまうことも珍しくありません。もし、判決までに競業禁止期間が経過してしまえば、フランチャイザーは敗訴ということになります。勝訴の判決をもらったとしても、強制執行で差し止めるまでに期間が経過してしまえば、やはり実際に差止をすることはできなくなってしまうでしょう。

このような場合のための法的手続きとして、保全処分というものがあります。これは、時間のかかる本案の判決が確定する前に、仮の処分として営業を差し止めてもらうための手続きです。仮の処分であるため、裁判所の判断は迅速に出されるのですが、通常の訴訟とは違い、単に競業禁止違反の行為があるだけでは足りず、「保全の必要性」という要件も必要とされることになります。

これは、「仮に現時点で競業を停止しておかないと、フランチャイザーに回復できない損害が生じるおそれがあること」ですが、これを裁判所に示すことは容易ではないと思います。逆に、元フランチャイジーの営業を止めてしまうと、そこで雇用されている従業員を解雇せざるを得なくなるなど、仮に、判決で元フランチャイジーの側が勝訴しても、元フランチャイジーの側に回復困難な損害を与えるおそれもあるため、保全処分で営業の差止を求めることは、通常難しいといわざるを得ません。

 

フランチャイズ契約上の競業避止義務①

2012-06-26

1.競業避止義務条項の趣旨

フランチャイズ契約では、競業避止義務条項を設けることが通常です。競業避止義務条項が設けられる理由は、企業秘密やノウハウの保護、顧客の誤認防止などですが、守秘義務条項やノウハウの流用禁止条項だけでなく、なぜ、競業避止義務条項が必要になるのかといえば、企業秘密やノウハウ、特に後者については、その内容や侵害(流用)の有無・程度を権利者において正確に判断し、主張・立証することが難しいからです。

フランチャイズ・システム、特にいわゆるビジネス・フォーマット型といわれるフランチャイズ・システムにおいては、フランチャイジーに対するノウハウの提供が契約における主要な柱となっていますが、本来秘密であるはずのノウハウがフランチャイジーに開示されてしまうため(のみならず、それを使って商売ができるように指導まで受けられます)、フランチャイザーにおいては、より一層その保護が重要になるのです。にもかかわらず、違反行為を明確にすることが困難であるとするとフランチャイザーが困るので、ノウハウの開示後、競合する事業という外見上比較的判別の容易な指標を設け、これを行えばノウハウの侵害があるものと擬製したのです。

なお、競業避止義務については、フランチャイズ契約期間中のものとフランチャイズ契約終了後のものに分けられますが、実務上は、契約終了後の方が問題になることが多いといえるでしょう。契約期間中は、違反行為によってフランチャイズ契約が解除されてしまうリスクがあるからです。

 

2.フランチャイズ契約書上の競業避止義務条項

フランチャイズ契約書上の競業避止義務条項を考えるに当たっては、以下のような点が重要になります。

①  そもそも「競業」を禁止してもよいのか。

②  禁止しうるとして、何をどの程度禁止すればよいのか。

③  フランチャイジーの潜脱行為をどうやって防ぐのか。

④  どうやって実効性を確保するのか。

 

3.競業禁止の可否

①についていえば、フランチャイジーの競業を禁止する趣旨が上記のようなものであることから、通常は、合理的な範囲でフランチャイジーの競業を禁止することは、フランチャイズ契約終了後のものも含めて許されると考えられており、過去の裁判例においても、競業避止義務条項は通常有効なものとして扱われています。

 

4.禁止の程度

(1)禁止の限界

②については、フランチャイザーの側からすれば、できるだけ多くの(長期間の)制約を課したいということになりますが、一方で、フランチャイジーの側からすると、特に契約終了後に長期間競業を禁じられることは、事業経営上大きな制約となり、場合によっては、その職業選択の自由を侵害することになりかねません。そこで、競業を禁止できるとしても、自ずと限界があることになります。

(2)禁止される「競業」とは

まず、何を禁止するのかですが、これは当然「競業」になります。契約書上の表現としては、「本件店舗における事業と競合する事業」などと表記されることが多いと思いますが、これについては後述します。

(3)フランチャイズ契約終了後の競業禁止の期間

フランチャイズ契約終了後の競業避止義務については、どの程度の期間競業を禁止すべきか、ということも問題になります。これも、フランチャイザーの側からすれば、競業行為によって生じる不利益を回避するのに必要十分な期間ということになります。具体的に何年間がこれに該当するのかは業態ごとに異なるため難しいものと思いますが、通常は1年~3年とする例が多いようです(もちろんこれでなければならないということはありません)。なお、期間の設定の仕方についても後述します。

 

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